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【ウラジミールの聖母/ウラジーミルの生神女 とは】
ロシアで最も愛されているイコンのひとつとして有名な
聖母子のイコン(聖像/聖画像)です。
原画は、12世紀にギリシャから現ウクライナのキエフへ贈られ、その後、現ロシアのウラジーミルからモスクワへと移され、現在はトレチャコフ美術館収蔵となっています。
東方正教会(Eastern Orthodox Church)において、聖母マリアのことを「生神女マリヤ(神を生んだ女性マリヤ)」と呼んで崇敬しているため、『ウラジーミルの生神女』として親しんでいらっしゃる方も多いかもしれません。
ここでは、カトリック教会の慣例にならい、
聖母マリアと呼んでいきたいと思います。
聖母が御子イエス・キリストを抱き上げ、母子が頬を寄せ合うこの図は「エレウサ型イコン」と呼ばれています。
「エレウサ」は"やさしさ、神の憐れみを現す"などを意味するギリシア語です。そのため日本語では「慈しみの聖母」とも呼ばれるそうです。
聖母マリアの顔は、十字架上での御子イエスの死までをも見とどける神の母としての憂いを帯びています。
しかし「お言葉どおり、この身になりますように。(ルカ福音書1:38)」という心をそのまま写したような、穏やかな愛に満ちた、
従順な表情でもあると言われています。
また、母マリアの手は、イエス・キリストをわたしたちに紹介し、キリストに対してとりなしを願っています。
御子イエス・キリストの様子は、どうでしょう。
すこし見えづらいかもしれませんが、聖母マリアの首もとに、イエスの小さな左手が回されていることに、注目してみてください。
母の首に手を回して頬を寄せるイエスの姿から、どのようなキリストの姿勢を感じることができるでしょうか。
人間である母マリアと、人間として生まれた御子イエスの愛の在り方が、神であるイエス・キリストと人間の代表であるマリアとの愛の関係をも表しているということ。
「神は愛です。」という新約聖書の言葉(ヨハネの手紙��4:16)が、目に見える形でこのように表現されているのです。
長い歴史を経て、なお愛され続ける、美しいイコンの節々までじっくりと拝見しながら、愛である神の偉大さを思いめぐらしましょう。その沈思の時間こそが、甘美な祈りの時間と変えられていくはずです。