- 高橋たか子 著
- 264ページ /四六判 上製(ハードカバー)
- 女子パウロ会 発行
- ISBN978-4-7896-0393-5 /Cコード:C0093
著者「あとがき」より──
小説家という職業をやめたので、
霊的著作というジャンルのものを書いていこうと思い、
『土地の力』『「内なる城」について思うこと』
そして今度の『始まりへ』と、たてつづけに3つ書いた。
長年鍛えた表現力がおのずから出てきて、
第1のは小説、第2のはエッセイ、第3のは戯曲というふうに、
形式はいろいろになったが、
一つの方向へすべての言葉が収斂している中身において、
どれも霊的著作としか言いようのない書きものなのだ。
この『始まりへ』を書き出した時、
二人の日本人の女が、私の分身として
私の中からいきいきとしゃべりだし、
ずっと、その感じがつづいていき、
フランス人の男のほうは、
私から遠い人物として登場してきたのに、
中頃から、この男がぐんぐん分身性を顕わにしてき、
後半全体にわたって、女たちにとってかわって、
濃く私に重なってしまった。
何と、不思議なことだろう、この男は私自身なのである。
霊的著作というジャンルのものを書いていこうと思い、
『土地の力』『「内なる城」について思うこと』
そして今度の『始まりへ』と、たてつづけに3つ書いた。
長年鍛えた表現力がおのずから出てきて、
第1のは小説、第2のはエッセイ、第3のは戯曲というふうに、
形式はいろいろになったが、
一つの方向へすべての言葉が収斂している中身において、
どれも霊的著作としか言いようのない書きものなのだ。
この『始まりへ』を書き出した時、
二人の日本人の女が、私の分身として
私の中からいきいきとしゃべりだし、
ずっと、その感じがつづいていき、
フランス人の男のほうは、
私から遠い人物として登場してきたのに、
中頃から、この男がぐんぐん分身性を顕わにしてき、
後半全体にわたって、女たちにとってかわって、
濃く私に重なってしまった。
何と、不思議なことだろう、この男は私自身なのである。
日本図書館協会選定図書
著者紹介
高橋たか子(たかはし たかこ)
1932年 京都市生まれ。
1954年 京大文学部フランス文学科卒後、大学院修士課程終了、文学修士号取得。
おもな著書:
長編小説として『空の果てまで』(田村俊子賞)、『誘惑者』(泉鏡花賞)、『天の湖』、『ロンリー・ウーマン』(女流文学賞)、『荒野』、『装いせよ、わが魂よ』、『怒りの子』(読売文学賞)、『亡命者』、『君の中の見知らぬ女』、『きれいな人』(毎日芸術賞)ほか多数があり、フランスで、1980年代にわたって観想的な生活をしたことの実りとしての、『土地の力』、『始まりへ』、『内なる城について思うこと』、『巡礼地に立つ』など、霊的テーマの著作がある。
現在、神奈川県に在住。
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