マルコ福音書は、弟子たちが師の言葉を聞き、彼の行う出来事を見ながらなかなか理解できない様子を繰り返し物語る。
本書は、このマルコ福音書を一節づつ詳しく追いながら、弟子たちと同じように、少しづつ、少しづつ「自分の」信仰を深めていくように誘う。
神が行われたこと、「わたしのために」行われたことを思い起こすと、それは生き生きとよみがえり、「よいたより」として他の人々に伝達するよう物語らざるをえなくなる。
こうして信仰はつぎつぎと実現していくのである。
著者は言語現象学の専門家であるだけに、易しい言葉で的確に表現し、イエスと弟子たちとの親密な交わりを、臨場感をもって心にひびかせてくれる。
福音の理解から、祈りへ、実践へと導く書。
原書は一巻だが、邦訳では上下巻となる。上巻は、マルコ8章30節のペトロの「あなたは、メシアです。」という信仰告白まで。下巻は百人隊長の、「あなたは、神の子です」という信仰告白で完結することになる。